一応ことわっておくと当サイト『ヴィルトゥオーゾ』で紹介するプレーはすべて神技である。あえて劉永東に神技のサブタイトルをつけたのは拙文「劉永東は神になるか?」にかけてのことである。
サービスダッシュの途中、アングルショットに反応したプレー。右足を浮かせ、左足で一気に踏み切り飛びついている。
とっさのプレーであり、省略できるところはすべて、いやできないところも端折った、つまり極限のプレーだが、ひとこま、ひとこまがなんと美しいことか!!まさに抜群のボディバランスである。彼の才能が光り輝いた一瞬、といえよう。特に18〜29の張りつめた美しさにはため息すらでる。
彼は、ここで、ネットプレーに課された大原則というものをいくつか破っているが、それはつまり、プレーはフレキシブルに変化する、ということであり、杓子定規に考えることは非常に危険ということを雄弁に語っているといえる。
身長191cmの彼が目一杯手足をのばしてやっと届いたというボールであるが、ただ当てて返すだけ、にはなっていない。精一杯にみえながら、ラケットの先端にまで神経がいきとどいているかのような繊細なタッチでボールにスピンをあたえ(21〜27)、できるかぎりコントロールしようという意志が見える。
ボディバランスのよさは打球後のリカバリの速さに顕著にあらわれており、もっとも注目すべき点かもしれない。
これは2003年広島での世界選手権での劉永東である。すでに何度かお伝えしたようにこの大会での劉永東は故障のためどん底であった。しかし同時におおくの人に圧倒的感銘を残したこともまだ事実である。ヨンドンをよく知るものにとっては、2003年の彼はヨンドンにあってヨンドンにあらず、という状態であり、複雑な気持ちになるのであるが、それでもなお、初めて彼を見た人に感銘をあたええたという事実にうたれるのである。ドーハではどのようなプレーをみせてくれるか?
(by TOSHI)
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